ラブ・ストーリー~可愛くない女~
「‥僕も行きます。」


後ろから追いかけてきた正直先生の大きな手が、私の手を包み込んだ。


「‥大丈夫。僕が必ず守りますから。」


正直先生がそう呟いた。


私は‥すぐにでも手を振りほどきたかった。


‥だって、私の手は冷たくじっとりと濡れて、小刻みに震えていたから‥。


本当は‥この場からすぐにでも逃げ去りたいくらい怯えていたから‥。


でも、正直先生の手は無情にもそれを許してはくれなかった。



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