夢の外へ
この人もこの人で、よくわからないや。

それよりも、千景の顔を見にきたことを思い出した。

あかりさんは眠ってるみたいなこと言ってたけど、顔を見るくらいだったら。

私は千景がいる病室のドアを開けた。

「千景?」

規則正しく動いている電子音。

それだけで千景が生きていることはわかった。

ベッドに近づき、上から顔を覗き込んだ。

たくさんの管に繋がれてはいるけれど、千景の顔は本当に眠っているのかと思うくらい安らかな顔をしていた。

まだ覚めないのかな。

ベッドの隣に置いてあったパイプ椅子に腰を下ろした。
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