夢の外へ
車が走ること、約5分。

「あ、あれ」

住んでいるマンションが見えてくると、私は指差した。

「じゃあこの辺で止めるか」

千景がそう言ったのと同時に、車が止まった。

ギッと、サイドブレーキを引く音が車内に聞こえた。

「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

そう言った私に、
「別に気にしてないから」

千景は返した。

何故だか車内に沈黙が流れる。

「ストーカー…」

「んっ、何?」

続きを促す私に、
「ひどいようだったら、警察に相談しろよ」

千景が言った。

「わかった。

じゃあ、降りるね」

返事を返してドアに手を伸ばした時だった。
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