夢の外へ
それに私は私で、何でドキドキしているのだろう?

「――明日香…」

消え入りそうな声で、千景が私を呼んだ。

千景と目があう。

目があった彼の瞳は、それはそれはキレイなグレーの瞳だった。

カラコン?

一瞬そう思った。

でもその色は自然と千景によくなじんでいた。

思わず見とれてしまった。

それが悪かった。

「――ッ!?」

何が起こったのかわからなかった。

千景…?

今…何してるの…?

突然の唇のぬくもりに、意味がわからなかった。

何、なの…?

わかるのは、千景が私にキスをしていると言うこと。

でも、何で?

何でキスしてるの?

私たちはそんな関係じゃないでしょ?
< 94 / 163 >

この作品をシェア

pagetop