夢の外へ
契約の関係なんだから。

上辺の関係なんだから。

そんな必要ないじゃない…。

どれくらい、だったのだろう?

長かったかも知れないし、短かったのかも知れない。

千景の唇が離れた。

再びグレーの瞳と目があった。

「――悪ィ」

呟くようにそう言った彼は、静かにその場を去った。

バタンと、やけに大きな音でドアが閉まった。

千景の姿が見えなくなった。

何が悪いの?

突然キスしたこと?

上辺だけの関係を破ったこと?

何が悪いの?

ペタリと床に座り込んだ。

「…ッカみたい」

バカみたい。

バカみたいだよ。

私、何気にしてんだろ。
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