カワイイ上司だから


広く感じてしまうシングル・ベッドの中でひとり、いつも思うこと。


――なぜ彼じゃなきゃダメなのだろう?



「三井さんだよね?シンガポールから赴任してきた、笹岡です。
出戻りで面倒かけると思うけどよろしく」

「こ、こちらこそお願いいたします」

ペコリと頭を下げた私に、フッと破顔してくれた。

私たちが働くのは、いわゆる旧財閥系銀行。


「やっぱコッチの日差しは優しいなぁ。今から寒さが心配だよ」


3年のシンガポール赴任を経て本部へ栄転して来たのが、彼こと笹岡部長との出会い。


< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop