カワイイ上司だから
でも上層部から突発の会食の指示が入り、今日も向かってしまった彼。
それはサラリーマンなら、至極当たり前のこと。頭では大変さを分かってるのに。
――いま夜の華やかな女性たちに囲まれていると思うと、やっぱり辛い。
「……寂しいよ」
裸のままで再びシーツを掴むと寝転んだ。
ベッドのぬくもりを手繰るようにキュッと握っては、本人に言えない感情が溢れ
出る。
「――それならいい加減、一緒になろうよ」
「……え?」
虚を突かれて起き上がると、いつの間にか戻って来ていた彼と目が合う。私の元へ近づくと、ベッドの縁に座った。
「今から文句はシーツじゃなくて、俺に言って欲しい。
千佳が頼るのは俺でいてよ?」
落ち込み気味に言う可愛い彼に縋りついて泣き笑う。……今日からこの温度を信じてぐっすり眠れそうだ。


