君をいただくなんてできない




パタリ扉を閉めて駆け出す。







おばあちゃん家はここから徒歩20分。といっても森の中にあるから体感時間はもっと長い。





「はぁー気持ちいい」




暖かな陽射しが木々の隙間から降り注ぐ。時折柔らかな風があたしの頬を撫で、どこかで鳥の囀りが聞こえた。





そんな気持ちのいい緑一色の風景の中に、あたしのトレードマークでもある赤の頭巾が一際目立っていた。






お母さんが作ってくれた、レースとお花がついたとっても可愛い頭巾。あたしの宝物。




夏は暑くて蒸れちゃうけど、この時期は丁度良くて爽快な気分になれるの。







「あら、こんにちは」



青い小鳥が近付いてきて、手を伸ばしたら指先に止まる。





チュンチュンと可愛く鳴きながらあたしに話し掛けてるみたい。




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