君と私のsubtext
「岸っ、おっせぇよ!何してたんだよっ」

「講義が長引いてさ」

「えーっ、何の講義?ていうか、最終だから非常勤のでしょ?」

「そ、S大から来てる教授の。結構マニアックだから、今度潜入して受けてみ?」

「ええーっ。どうしよっかな~。ね、淳子(じゅんこ)、一緒に受けない?」

「全然いいよーっ。ていうか、岸、言いだしっぺなんだから面倒見なよ」

「え、俺?」

「自分で誘っといてお前、それねーだろ」


先輩の周りには、わらいがあふれている。

気づけば隣にいたゆうも、その輪の中に入っていた。



楽しそうな、輪。



それを遠目に眺める中――

ふと、近くも遠くもない日の言葉が、唐突によみがってきた。





「お前がそれでいいなら、いいよ」





忘れたくて、忘れられない言葉。




「友達に、戻る?」



初めから、友達なんかじゃなかったくせに。
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