キミが望むのなら


「俺、この夢を叶えたい……」


悠君……


「だからおばあ様には生きていてもらわなきゃ困るんだっ!!」


「……」


「お願いします!手術を受けてくださいっ!!」


頭を下げるその姿に、心が震える。


悠君の必死さに、涙が零れそう……


「……悠さんは……ずっと無理をしていると分かってました」


「……おばあ様」


「突然あなたが私の孫だと言われ、私のところに来たときは、驚きで声も出なかった」


ゆっくりと話すおばあさん。


「まるで息子みたいで……息子にそっくりで怖くなった」


息子さんというのは、つまり悠君のお父さん……?



「あなたもいつかはここを出ていくんじゃないか……。離れていくんじゃないか……って」


「っ……」



確か悠君のご両親って、駆け落ち同然で結婚したって……



「だったら無理やりにでも縛り付けて、紺野呉服店を継がせよう。そしたら息子みたいに悠は離れていかないって思ったんです……」




これがおばあさんの本音。



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