キミが望むのなら
「俺、桃香ちゃんが好きだ」
「…………」
……ふわっとした風が、あたしの髪を靡かせた。
「……え?」
振り向いて悠君にそう言うのがやっとで、頭がもうまく働かない。
「俺、初めて会った時から桃香ちゃんの瞳が気になってたんだ」
初めて会ったのは、あの満月の夜。
自分にも、未来にも、希望を持てなくてただ苦しくて空を見上げていた。
「その瞳がだんだんと色づいて、初めて桃香ちゃんが笑った時、俺……この笑顔を守っていきたいって思った」
「っ……」
「俺、桃香ちゃんのその笑顔が好きだ」
「っ―……」
「ちゃんと自分と向き合う強さも、俺の為に泣いてくれる弱さも……。その全てが好きだ……」
言葉一つひとつが、心に沁みて溢れ出しそう。
「その全てを……俺が好きになった桃香ちゃんの笑顔を、俺が守りたい」
ねぇ、あたしこんな幸せなことがあるなんて知らなかったよ……
「好きです。俺と付き合ってください」
こんな素敵な未来があるなんて、全然予想してなかった。
「あ……あたし……、何も出来なくて……」
「俺の為に泣いてくれたでしょ?あのおかげで俺、ちゃんと前に進めた」