キミが望むのなら


「俺、桃香ちゃんが好きだ」


「…………」


……ふわっとした風が、あたしの髪を靡かせた。


「……え?」


振り向いて悠君にそう言うのがやっとで、頭がもうまく働かない。


「俺、初めて会った時から桃香ちゃんの瞳が気になってたんだ」


初めて会ったのは、あの満月の夜。


自分にも、未来にも、希望を持てなくてただ苦しくて空を見上げていた。


「その瞳がだんだんと色づいて、初めて桃香ちゃんが笑った時、俺……この笑顔を守っていきたいって思った」


「っ……」


「俺、桃香ちゃんのその笑顔が好きだ」


「っ―……」


「ちゃんと自分と向き合う強さも、俺の為に泣いてくれる弱さも……。その全てが好きだ……」


言葉一つひとつが、心に沁みて溢れ出しそう。


「その全てを……俺が好きになった桃香ちゃんの笑顔を、俺が守りたい」


ねぇ、あたしこんな幸せなことがあるなんて知らなかったよ……



「好きです。俺と付き合ってください」



こんな素敵な未来があるなんて、全然予想してなかった。


「あ……あたし……、何も出来なくて……」


「俺の為に泣いてくれたでしょ?あのおかげで俺、ちゃんと前に進めた」



< 206 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop