【番外編】ルージュはキスのあとで





 それなのに、今はどうだ。


 真美がいなければ生きていけないんじゃないだろうか。

 そんなバカなことも真剣に考えてしまう自分がいることに驚いてしまう。
 人間、変われば変わるものだ。

 真美は恋愛に慣れていないのだから。
 男と抱き合うことに慣れていないのだから。

 そう自分に言い聞かせてみても、真美を目の前にしてしまったら理性なんてぶっ飛んでしまう。

 そして、今日も少なからずあった理性は知らぬ前に消えてしまって……真美は疲れて夢の中だ。


 ひんやりと冷たい空気。
 まだ蝉の声は聞こえてこない。
 だが、今日も暑くなりそうだ。


 空を見上げれば、雲ひとつなく真っ青な空が続いている。
 そして、その空を見上げていたら昨夜のことを思いだしてしまい、再び大きく息を吐き出した。



「……思春期のガキでもないのに。一体これはどういうことなんだろうな」



 俺は昨夜あった花火大会のことを思い出し、はぁぁと大きく長いため息を零した。






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