血塗れの蝶
「お前・・・。」

雄牙さんは有り得ないという顔でそう言った。

ハッ

夢中に走ってて気付かなかった俺は、
今更だが、美月組だったことを忘れていた。

「なぜお前がここにいる!!・・・まさか?」

雄牙さんは、そう言うと更に眉間に皺を寄せた。

「まさか、お前が美王の彼氏じゃないよな!?」

「・・・はい。」

「ッ~~!!テメェ、なにが目的だ!!
 組の情報か?美王の族か?・・・それか、
 ・・・全部か!?」

「違います。組も族も関係ありません!
 俺は美王、ただ1人。それしか入りません。
 ・・・そんなことより、美王は
 どうなるんですか!?」

俺がそう言うと、雄牙さんは俺の胸倉を
掴んで大声で怒鳴った。

「そんなこと、教えられるわけがないだろう!!?
 いいか?美王の男がお前だと知った以上!!
 お前と美王をくっ付かせるわけにはいかないぞ!?
 今後一切、美王に関わるな!!!」

雄牙さんはそう言って、俺を突き放した。
そして、俺は追い出された。


もし、美王が普通の家だったら?
もし、俺が普通の家だったら?

もし、2人が普通の家だったら?
どんなに嬉しいか・・・。


なんどもそう思った。



家まで送りたくても、遅れない。
家に連れてきたくても、連れて行けない。
周りに「俺の女だ」って、言いたくても言えない。









好きだ・・・。美王・・・。
< 40 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop