囚われ姫~星屑は寵姫となりて蝶姫となる~
「あなたを大切にします」
「え?」
「アイリスの花言葉はあなたを大切にします、だ。それを知っていてお前にアイリスを持ってきた意味を解せるか?」




神崎さんは暗がりを恐れる子供のようなおどおどした目であたしを見つめる。
答えを促す表情は変わらず神崎さんを包み込む。




「まだお前に言ってなかったな。お前はあんなに乱れながら求めてくれたのに」
「わ…忘れて」
「嫌だね。あんな可愛いお前、忘れたくねぇ」




あたしの耳が悪くなってんじゃなければ、神崎さんははっきり『可愛い』と言った。
からかってるのかと反論しそうになった時だった。

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