プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「どうされるおつもりで……?」
「一日ベビーシッターに頼んで、彼に見てもらうから、ひとりで来るっていうんだ」

「でしたら……私がいたらお邪魔じゃないですか?」
「いや。だからこそ、君にいてもらいたい。ダメかな? 明日半日でいい」
「明日……」

 ここでノーと言えばいいのに、なんで私は言えないんだろう。

「分かりました。けど、心配する人がいるので……連絡入れてもいいでしょうか? ホテルの手配は、今からすぐに」

「ありがとう。ホテルの方は心配要らないよ。まずは京都にこのまま向かってから、いい場所を案内するから」

 にこりと微笑まれて、なんとなく疑り眼になってしまう。

「もしかして、最初からそのつもりで? 大体、赤ちゃんのいるミシェルにしては明日……なんて急すぎですし」

「さあ? でも、君が僕のフォローをしてくれることで、今後のプライマリーがいい方向に動くことは間違いないよ」

「ずるいですね」

 これぐらいは言わせてもらおう。無論、効き目などなく、笑われて終わってしまうのだけれど。


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