プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 ウィル……偶然だけど、潤哉さんのミドルネームと同じ。

 もしかしたら仲良く出来るかもしれない、なんて希望を抱いたりして。
 でも、もしかしたらやきもちを抱く可能性の方が……と浮かびあがってしまった。

「じゃあ、お願いね。預けていいなら今夜、21時頃、遅くて悪いけど……彼と挨拶に行きたいと思うの。いいかしら?」

 ミシェルはこれから恋人と京都へのプランを話してくるから、と言い立ちあがった。

「あっ、分かりました。コーヒーご馳走さまです」
「いいのよ。いつものあなたが淹れてくれる方がおいしかったわ」

 ミシェルはもう当然決まったかのようなご機嫌な様子で言った。
 押しが弱い日本人……じゃなくって、私がお人よしなのかな、久美ちゃん再来、なんて。

「ありがとうございます。じゃあ、今夜、伝えておきますね」

 ミシェルは「よろしくね、可愛い子猫ちゃん」と言って席を立った。
 私も「じゃあ」と手を振りながら、内心うーんと考える。

 ダメって言われたらどうしよう?
 きっと、言わないと思うけど。

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