プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 美羽は僕のイジワルを責めるように潤んだ瞳で見て、受話口に耳をあて、ミシェルに事情を告げる。

『……なんだか変よ。具合でも?』
「……う、ううん……あ、……あの、時間なんだけど」

 感じるところを指で掻き混ぜ、美羽を上目見ると、彼女は力ない手で僕を押し返す。僕は反論すべく、舌を滑らせわざと音を立ててキスをあちこちにつけた。

「……一時間ちょっと」
「二時間」
 僕は美羽の耳元でわざと低く囁く。彼女はぎゅっと瞼を閉じて甘い喘ぎを堪える。

『……え? なんですって?』
 ミシェルの大声が響いて、美羽はかっと顔を赤くして僕を見た。

「あ、んっ……やだ、……」
「ちゃんと言って。二時間だよ」

 僕は愛撫をやめない。美羽の吐息が荒く、集中しきれないところまで貪り続けた。

 ようやく電話を切った後、恨めしい顔をされたけれど、そんなのはおあいこだから。

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