天使の舞―前編―【完】
「ねぇ~!
キャスパトレイユをどうするの?
シラサギさ~ん。」


窓からギリギリまで、身を乗り出して乃莉子は叫んだ。


名を呼ばれたシラサギも、先を歩くアマネも、乃莉子に答える事はなかった。


その代わり。


磔台に縛られるため立たされた事で、頭の自由を取り戻したキャスが、上を見上げ叫ぶ。


「おぅ…!乃莉子、無事か?
今お前を、助けに行ってやるからな!
もう少し待っとけ!
俺が行くまで、頑張れ。
アマネに隙を見せるなよ。
絶対に油断するな。」


『助けが必要なのは、あなたの方でしょ。』

と、心の中で突っ込んで、乃莉子は短く息を吐いた。


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