天使の舞―前編―【完】
眼下に見えたキャスのピンチを、見て見ぬふりができなかった乃莉子は、必死に呼びかけ続ける。


「悠く~ん。
あっ!!
キャスパトレイユ~。
大丈夫~!?」


頭を押さえつけられて、キャスは上を向く事ができないが、乃莉子の言葉をしっかりと胸に納めて、ニッと表情を緩めた。


「…。
興ざめだ…。
乃莉子め、とんだ邪魔をしてくれたもんだ。
コイツは逃げないように、磔ておけ。」


アマネはそう言うと、持っていた剣を、カランと足元に放り投げた。


「アマネ様。」


シラサギは、マントを翻して立ち去るアマネの後を追って、この場を離れた。


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