天使の舞―前編―【完】
かなりキツめに縛ったはずの鎖が、キャスパトレイユの体を緩めていくのが、兵士の目に映った。


何が起こっているのか、兵士が判断して走り出すまでに、キャスの自由は完全に戻ってきていた。


キャスは、不敵な笑みで兵士に別れを告げる。


「悪いが磔台とは、おさらばするぜ。
いや…でも…気にするな!
俺の鎖が外れたのは、お前のミスじゃない。
お前んとこの王子が、俺の力を見誤ったからだ。
まぁ、俺の王子としての格が、桁違いに上なんだ。
仕方ないさ。じゃあな。」



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