天使の舞―前編―【完】
天界の王子の言い種に、唖然としている兵士を後目に、白い翼を羽ばたかせ、乃莉子が囚われている部屋へと、飛翔して行くキャスパトレイユ。


垂直に、全速力で風をきる。


乃莉子がマッハで走るスピードを、雀のようにと表現するならば、キャスのそれはハヤブサのようであった。


あっという間に、部屋の窓に手がかかる。


「乃莉子!」


キャスは、部屋に入るが早いか愛しい乃莉子の名を叫んだ。


でも、すぐに。


「アマネ!きさま!」


目の前に飛び込んできた光景を見て、キャスパトレイユはとっさに叫ばずにはいられなかった。


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