天使の舞―前編―【完】
悠のその爽やかな笑顔は、苛立った乃莉子の癪に障り、ワナワナと肩が震えてきた。


何なの…。

何なの…!

何なの…!!

「何なのよ~!!!」


乃莉子は多分、23年間生きてきて、こんなにも感情をあらわにしたのは、初めてのはずだ。


何故なら日々の生活を、穏やかに、揉め事なく、平凡にと心掛けて、過ごしてきたのだから。


でも一度開放してしまった感情は、そうそう容易く制御できる代物ではない。


自分の想いを吐き出す満足感は、乃莉子を酔わせてしまった。


「ヨメって何?
そんな一方的な押しつけが、勝手に人の家に上がる理由になる訳?
不法侵入よ!不法侵入!
立派な、は·ん·ざ·い!」


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