天使の舞―前編―【完】
自分の想いに気がついて、少し気恥ずかしくなった悠は、ソッポを向いて、ゆっくりと翼を動かして見せた。


「俺のこの翼、大きいだろ?
これが王族の証だ。
王族以外は、一回り…いや二回りは小さい翼だな。
でも、ちゃんと飛べる。」


「ふぅん。そうなんだ。」


乃莉子は真面目に答えてくれる悠の話を、とりあえず真実として聞いてみる事にした。


まじまじと、不思議そうに翼を眺めてみる。


「じゃあ…まぁ…王子って事は、分かったわ。
でもね、何で名付け親が妃になるの?」


小首を傾げる乃莉子の仕草が、たまらなく可愛く思えて、悠は照れて目を反らした。


そんな悠の気持ちになど、お構い無しに、話の続きを待っている乃莉子に、ボソッと呟く。


「いや…。逆なんだ。」


恥ずかしそうに、チラッと悠は乃莉子を見ると、さらに不思議そうな顔で、こちらを眺めている。

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