スイートなメモリー
先週三枝君とデートしてから、久しぶりに女性雑誌を買ったりなんかして、恋する気分を楽しんでいた。
姓名判断の相性占いもしてみたし(それが悪い結果でなかったのはとても喜ばしいことだった)、「OL本音調査! 彼とのセックスの相性は?」なんて記事にも目を通してドキドキしたりもした。
会社に行っている間も、三枝君が気になって仕方なかった。
けれど、急に親しげに接するのはどうかと思ったし、これまで通りにしようと懸命に振る舞っていたのだ。
そうはいっても三枝君が時折私を見ているのには気がついていたし、喫煙所で一緒になったりしないものだろうかとチャンスを伺っていたのに気づいていたのも事実。
月曜日の一日は、私にとって結構試練だったのだ。
仕事を終えてから、いてもたってもいられなくなり、三枝君にメールを送った。
もしも仕事が終わってから会うことができたらとても嬉しいと思って、返事が来るのを待ちながら恵比寿駅の近くの喫茶店で本を読んでいた。
三枝君からのメールは来なかった。がっかりしながら家に帰ってお風呂を出たら返事が来ていた。
嬉しかった。
謝ってばかりのメールの文面に、くすりと笑ってしまう。週末空けてほしいと言われて嬉しくて、すぐに快諾の返事を出した。
自分がこんなに一喜一憂するとはとても意外だった。
土曜日が来るのを心待ちにして、金曜日まで今までと変わらないように気をつけながら仕事に励む。
金曜日に仕事を終えたあとの解放感は素晴らしかった。
しかし、私は帰宅してから明日のための準備に心悩ませている。
はたしてこの服で三枝君は喜んでくれるだろうか。
それよりも。謝らなくちゃいけない。
きっと三枝君は、私の会社での態度にとまどっていたはずだもの。
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