月夜の翡翠と貴方
「そうじゃなくて、私の気が済まない。ルトにしてもらってばかりだから、私もなにかしたい」
もやもやの要因のひとつを言うと、ルトは困ったような顔をした。
「……それは、奴隷として?人間として?」
「…………どっちも」
はぁ、と横からため息が聞こえる。
そして彼は、何か含みのある声色で言った。
「何か、ねぇ……………」
月明かりで淡く光った深緑の瞳が、こちらを見つめる。
寝台に、薄暗い空間に、月の光が細く伸びている。
白いシーツが、擦れる音がする。
ルトの表情が、また変わった。
口元が、少し上がる。唇が弧を描く。
漂うのは、男の雰囲気。
ルトの、男の姿。
「……なに。夜の相手でもしてくれんの?」
妖艶に。
意味深な笑みを浮かべたルトは、とても綺麗で。
女が見たら、きっと一瞬で見惚れるのだろうと思った。
くらくらして、堕ちていくのだ。
この男に。
私の橙と、ルトの深緑が絡む。
……夜の、相手。
それがどんな意味なのかは、言われなくてもわかる。