月夜の翡翠と貴方
「劇団の者達には、本当に迷惑をかけました。妻が亡くなり、魂が抜けたように何も手につかず…遠方へ行く直前まで、一緒に行こうと説得してくれたのですが」
情けないですよね、とラサバは自嘲気味に笑う。
私がふるふる、と首を横に振ると、彼はありがとうございます、と言った。
…ラサバがそれだけ、彼女を愛していたということだ。
情けなくなど、ない。
「そして皆が遠方へ旅立った後……しばらく、ぼうっと日常を過ごすだけでした。しかし偶然近くの村へ行った時、奴隷屋を見かけまして」
段々と、ラサバの表情が柔らかくなる。
口元に、笑みが零れてくる。
「そうして、見つけてしまったのですよ。ふとそちらに目をやった時に、妻の幼少時代にそっくりな、スジュナを」
私は、ラサバの顔を見た。
とてもとても、幸福そうな表情。
嬉しい出会いへ、心から感謝をするような。