月夜の翡翠と貴方


「……私は、スジュナのおかげで妻の死から立ち直ったようなものです。スジュナを愛することができて…本当に救われました」


優しさと、愛おしさに溢れた表情。


「スジュナが奴隷だったなんて、全く気にしません。むしろそのおかげで出会えたのですから、感謝しているぐらいです」


………この親子は、本当に互いを大切にしあっている。

愛しあい、愛されあって、生きている。

互いを生きる希望として、支え合って生きているのだ。

ラサバはこちらを見て、「こんなかんじでよろしいでしょうか」と恥ずかしそうに笑った。

「…はい。……よく、わかりました。ありがとうございました」

頭を下げると、彼も慌てたように頭を下げた。

顔を上げ目が合うと、なんとなく笑いあう。



「あー、パパとおねえちゃんが仲良くしてるー」


そんな声のした方を見ると、ぬいぐるみを抱えたスジュナと、その手を引くルトの姿があった。


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