月夜の翡翠と貴方


「パパ!」

ルトの手から離れ、スジュナは真っ先にラサバに抱きつく。

愛おしそうに娘の頭を撫でるラサバの姿を見て、思わず笑みがこぼれた。


...話を聞けて、よかったなと思う。

また、私のなかの常識が覆されてしまったが、そんなことは気にならなかった。

ふと横を見ると、ふたりの姿を見て笑っている、ルトが目に入った。


そして、バチリと目が合う。


「…!」

思わず、ふいっと顔を逸らしてしまった。

……早く、仲直りした方が良いのはわかっている。

しかし、私たちは恋人でも何でもないのだ。

どうやって、仲直りしようと言うのだ。

……私が、謝るべきなのか。



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