月夜の翡翠と貴方


スジュナの頭を撫でていたラサバが、スジュナが抱えるぬいぐるみに気づいた。

「え…これはもしかして……か、買っていただいたのでは……!?」

ルトは、へらっとした顔で「うん」と返事をする。

ラサバは慌てて、「お金をお返しします」と言い出した。

「え、いや、いいよ」

「いいえ!お昼代も含めて、後で全額お返しします!」

「そ、そっすか」

ラサバの勢いに気圧され、どうも、とルトが頭を下げる。

なんだか、可笑しな光景だった。


私もラサバに続こうと、貰った銀貨の袋を懐から出す。

お昼のパンにしかお金を使っていないので、袋の重量は最初とほぼ変わらない。

先程は思わず顔を逸らしてしまったが、今度はちゃんとルトの顔を見て、礼を言おう。


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