月夜の翡翠と貴方
「…なっ、何をする、ルト!」
「さっきからお前は何言ってんだよ」
怒っているような呆れているような目で、ルトはリロザを見ている。
「わ、私はジェイドさんにお付き合いを…」
「だから何でそんなこと言ってんだよって聞いてんの!」
全くその通りなのだが。
しかし、ルトは貴族であるリロザに、蹴りなど入れて大丈夫なのだろうか。
ルトがこのおかしな状況を壊してくれたおかげか、他の酒場の人々も笑いながらこちらを見ていた。
「本当なに言ってんのよリロザ~!酔っ払ってんならちょっと外出て来たら?」
そう、陽気そうに女がいう。
「違う!私は本気で…」
「ジェイドさん、って言ったっけ?こいつのいうことは、気にしなくていいからね」
ごめんねー、という男に、リロザが反抗するが、全く相手にされていない。
「…………………」
どうやら、ここに身分の境界というものはないようだ。
普通の友人、という間柄なのだろう。
何故リロザがこのような扱いを受けているのかは、わからないが。
「ジェイドさん!」
すると、キッとした目で、再びリロザがこちらへ視線を向けた。