淫靡な蒼い月
いつから愛していたかわからない。
ただ気づけば、側にいて、愛していた。
名は桔梗。
我が家に代々仕えし一族の娘。
代々のしきたりにより、今宵、桔梗を抱く。
決して互いに愛してはならない。
交えるのは体だけでなくてはならない。
何と苦しいことか。
この気持ちは一生、口に出せぬ。
いっそ、死んでしまえば――
さすれば、桔梗もこの忌まわしい“勤め”から解放され、本当に好きな相手と生きてゆける。
桔梗、愛しき人よ。
そなたが、たまらなく愛しい。
そなたを抱いてしまいたい。
しかし、愛しているから、生娘のまま、そなたをこの“勤め”から解放する。
今、毒を口にした。
我は風となり、そなたを守ろう。
男でも女でもない形となり、永遠に――