クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
「弟か?」
「うん。弟の蒼太」


 ロイドは結衣から離れ、先ほどとは打って変わって、穏やかな笑顔を湛え蒼太を見つめた。

 この表情は王宮でエライ人たちと対する時の顔だ。


「先ほどは大変失礼いたしました。改めてご挨拶申し上げます。私はクランベール王国科学技術局局長、ロイド=ヒューパックと申します。ユイさんとは結婚を前提にお付き合いさせて頂いております。以後お見知りおきくださいますよう、よろしくお願い申し上げます」


 そう言ってロイドは軽く頭を下げた。

 相変わらずの豹変ぶりに大きくため息をつきながら、結衣はロイドをひじで小突いた。


「そんなバカ丁寧な挨拶しなくていいのよ」
「そうか?」

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