クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜

「うん。赤ちゃんみたいに丸くなってるあなたが、かわいかった」


 結衣が微笑むと、ロイドがうろたえた。

「ちょっと待て。横抱きにして運んだのか? 無茶するな。よく落とさなかったな」

「無理っぽかったから、運ぶ時には背負ったの。落とさなかったから安心して」

「落とされてたら、いくらなんでも起きてる」


 そう言ってロイドは、結衣の額を叩いた。


「まずは顔を洗って着替えてこい。飯食ったら陛下のところへご挨拶に伺う。洗面所にラクロットさんが用意してくれた服と化粧品が置いてある」


 ロイドに背中を叩いて促され、結衣は立ち上がった。
 そして、ふと疑問に思い、問いかける。


「化粧品? 王子様になるんじゃないの?」


 ロイドは結衣を見上げて、ニッと笑う。


「おまえはもう殿下じゃない。オレの恋人だ」


 結衣は微笑んで頷いた。


「……うん」


”恋人”という響きが、なんだかくすぐったかった。

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