クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
「あぁ。午前中に買い物を済ませて、どこかで昼食を摂ったら、街を案内してやる」
「きゃあ。嬉しい!」


 結衣は飛び跳ねて喜んだ。
 ずっと王宮内、というより、ロイドの研究室に閉じこもっていたので、いつもテラスから見下ろすだけだったラフルールの街に行けるのは嬉しい。

 それにこれは、いわゆるデートだ。

 何度もキスして、プロポーズもされたのに、今まで一度もデートをした事がない。
 ロイドとの初デートが、何より嬉しかった。
 おまけに結衣にとっては、人生初のデートだ。

 キスやプロポーズより後、というのが妙な話だが——。


「あなたと一緒に行くの?」

「あぁ。だが、買い物は遠慮しとく。オレは本屋にいるから、適当に欲しい物を買ってこい」


 結衣は眉をひそめる。それじゃ、一緒に行く意味がない。

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