クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
「なぁーんだ。そういう事だったのね」


 結衣がクスクス笑うと、ブラーヌは少しガッカリしたように言った。


「おや。すでに知っていたのか」
「いいえ。知りませんでした。でも思い当たる事があって……」
「案外、単純な奴だろ?」
「理由が分かってみると、そうですね」


 二人は顔を見合わせて、クスクス笑う。
 すると奥から、器用に三つの皿を同時に持ったロイドが、怒鳴り込んできた。


「こらぁ! 何をコソコソと、ひとの噂話しながら笑っている! メシが出来たぞ!」
「聞こえてたの?」


 壁を隔てた向こうで、料理の雑音の中、よく聞こえたものだと不思議に思い尋ねると、ロイドは皿を並べながら不愉快そうに答えた。


「聞かなくても分かる。おまえら二人が顔つき会わせてコソコソ話すのは、オレの事に決まっている。他に接点ないだろう」

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