ビター・スイート・ラヴ
「夏美さん、明日は旭川まで南下しようと思うんだけど。それでいいかな?
どこか他に寄りたい所とかある?」



「宗谷岬は行くの止める? まあ野寒布岬とさほど変わらないと思うけど。
日中でも走ってると涼しいというより寒いね。それだけでも、体力が奪われ
ちゃう。革ツナギの下にいっぱい着込んでるけど、京の気温と段違いだわ。
九月の北海道をちょっと舐めてたかも。コースは真紀さんに任せるわ。ただ
層雲峡は行ってみたいなぁ。それと最終日は札幌で美味しい物をたくさん食
べて贅沢三昧しよう!」



「それ、いいかも。折角、北海道まで来たんだし、帰路も別々だしね。私も
次回はリッチに飛行機で来よう!」



「こういう行き当たりばったりの旅もいいものね。真紀さんと旅してつくづ
く思うわ。私はなんでも型にはめて物事を考える質だからダメね。もっと柔
軟にならなくちゃ」



「じゃあ、明日は層雲峡に行きましょう。宿は近くで捜すとして。私の
グッチもようやくツーリングに馴染んできたみたい。毎日、結構な距離
を走っていれば当然だよね。油断してコケないようにしないと」



「そうよ、修理にウン万円するからね。事故だけは注意しましょう。
さてと、明日も長丁場だから早く寝ようっと」



 こうして毎日その日の気分でコースを決め、何のトラブルも起らずに
札幌の夜を迎えた。



 真紀と夏美は札幌にある某航空会社のホテルにチェックインし荷物を置い
てから、すすきのの夜の街に繰り出した。
< 112 / 206 >

この作品をシェア

pagetop