ビター・スイート・ラヴ
 浩輔はあさみの淹れたお茶を美味そうにすすり、少し照れながら話し掛
けた。



「夕食まで時間あるから露天風呂に行こうか?」


「そうね。風情のあるお風呂よ。せっかくだから何度も入っちゃおう」


「おいおい、湯あたりしないように気をつけろよ」



 浩輔は幼い子供に注意するように優しく言った。



 二人は浴衣と洗面道具を持って風呂場に向った。中途半端な時間のせいか
露天風呂は空いていた。



 あさみはゆっくりお湯に浸った。先程までの余韻が体に残っている。



 ここにいる他の客が先程の二人の行為を見ていた訳でもないのに、あさみ
は何故か気恥ずかしく、そそくさと体を洗って出てきてしまった。



 浩輔は先に部屋に戻っており、寝転んでテレビを見ていた。

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