イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「――だめ」


思わずあたしは情報をシャットアウトした。


「これ、預かってもらえない?

大人のミソラにでも渡して。

あたし、こんなの怖くて管理できない」


急にこのリストバンドの存在がものすごく恐ろしくなって。

あたしは拓海にこれを差し出してた。


(よくこんなの使ったな、あたし。

――怖すぎるよ)


拓海はリストバンドをじっと見て、黙って首を振る。


「……それはだめだよ。

これを預かってしまったら、オレが今ミソラに会いに来られなくなる」

「……」

「ミソラがどこかで保管しておいて。大丈夫だから」


穏やかにそう言って。

預かるかわりに、拓海は両手であたしの手をリストバンドごと包んだ。
< 145 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop