イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「ミソラ……本当にありがとう」


そうやさしく言うと。

拓海はそっと手を離して、あたしに背を向けて、歩き出した。


拓海が背を向けた瞬間、こらえていた涙が目からあふれだす。



……そしたら。

拓海は急にくるっと振り返った。


「……」


あたしの頬に流れた涙をじっと見つめて。

さっとあたしに近づくと、あたしの肩に両手を置いた。


整った顔がすぅっと近づく。

睫毛の影が頬に落ちた。



「………!?」



(あ……)



頬にじゅわっと血がのぼった。
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