イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
(リストバンドのことは言わなかったのに)


覚えてたのね、これを使って過去に行ったこと。


「ね。貸して」


断固とした口調で言う拓海に。

あたしは黙って首を振った。


「ミソラ……」

「これは、貸せない」

「……」

「だけど……連れて行ってあげる」

「……え?」


「すべてが終わった後の、ミソラのところへ」


あのときのあたしは、この拓海に救われた。

この子を連れて行かないと、あの後何か無茶苦茶なことをしてしまったかもしれない。


ここでこの子を連れて行くのは、はじめからわかってたこと。


あたしはひとり、小さくうなずいた。
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