イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
緑の葉が茂る木。

温かい空気。

川の流れる水の音。


(戻った? 戻ったの?)



足元を見ると、本屋の袋が転がってた。

急いで袋を開けると、さっきあたしが買ったばかりの問題集が入ってる。

横に、ケータイが転がってた。


(戻ったんだ。

――今に。)


はぁ。

よかった。

思わず大きくため息をつく。


(って、今の、何よ……)


ほっとすると、今起こったことがウソのように思えてくる。

だって、荒唐無稽すぎるよ。


あわてて荷物をかき集めて、あたしは秘密の場所を急いで後にしてた。

本屋の前に停めてあった自転車にまたがると、逃げるように走りだす。


何かに追いかけられてでもいるように。
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