イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
あまりのことに、あたしは空いた口がふさがらず、呆然とその場で立ち尽くしてた。


そういえば小学生の頃、一度だけこの秘密の場所でどっかのお姉さんに会ったっけ。

寒い寒いって叫んでた、変なお姉さん。


……それって、もしかして、もしかすると、あたしだったんだ!!



(……って、ぼけっとしてる場合かっ)


何とか帰らなきゃ。

慌ててリストバンドを見ると、今度は左向きに光る矢印が光ってた。


(さっきと逆!?)


これはもしや!

あたしはわらにもすがる思いで、矢印を指ですぅっとなぞった。

今度は逆方向に光る矢印が移動する。



「わわっ」


じわじわと周りの風景が変わってゆく。

まるで絵の具がにじむように。

寒々しい色合いから徐々に暖かい色合いに変わっていって。


ふと気づくと、明るい日差しの中に呆然と立ってた。
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