六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
そのまま屋上に上がると、太一が先にお弁当を食べているところだった。
「あっ、姉ちゃん……
って、何で手なんか繋いでるんだよ!?」
あぁ、と言って瑛さんは手を離す。
清良が太一に先ほどの状況を説明した。
「なっナニぃ!?
イケメン留学生に抱きつかれたぁ!?」
太一はワナワナと肩を震わす。
「な、なんで彼氏だなんて……」
あたしは、まだドキドキしていた。
いきなり抱きつかれたのもそうだが。
瑛さんがあんな事を言って、手を繋いでここまで歩いてきてしまった。
「他の子も見てたし聞いてたよ……」
「……皆の前でああ言えば、
お前に余計なムシがつかなくて済むだろう」
太一と清良が、目をまん丸くする。
「まさか、瑛さん……姉ちゃんの事……」
「瑛、まりあの事好きなわけ?」
「えぇー!!」
瑛さんはあたし達三人を冷えた表情で見下した。