六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「何年か前に、ずっと一党で続いていた政権が交代したでしょう。
あれは、あの時の党首が、
『占いなんか信じない』と暴走したために起こった事でした。
その前から崩壊しそうだったこの国を支えていたのは、
夢見姫の占いと祈りの力だったのに」
夢見姫の占いと祈りの力が、国を支える?
そりゃあ、その方が信じられなくて当然だよ。
なおも伊奈は話続ける。
「それから、愚かな常人の手だけで政治が行われ、
結局この体たらくだ」
「でも……本当なら、
そうやって人の手でやるものじゃないんですか……?」
「それは綺麗事です。
この国の存亡には、国民の運命がかかってる。
政治は運動会の予行演習じゃないんですよ」
彼の声が、はじめて厳しい響きに変わった。
「先代夢見姫は怒りました。
もう政治の面倒は見ないと。
そのうちに、亡くなられてしまって……」