遊びじゃない

昨日母子共に退院してきた山崎邸に図々しくもすぐにお邪魔している。

だって画像だけじゃ可愛さは100%伝わってこないし、美織も「会いに来て」って言ってくれたし。

さすがに退院してすぐとか…私だって遠慮しようと思ったけど。出かけに送られてきたメールに目を通して、その理由が納得できた。

「新生児用のオムツ1袋、お尻拭き超柔らかなやつ、搾乳器、清浄綿……ぷっちんプリン。」

どんなモノなのかさえわからずに、結局はドラッグストアの若い店員さんに全てチョイスしてもらって。

その重量に美織のニンマリ顔を想像しながら、なんとか辿り着いたってわけ。

そりゃあこんな買い物、産後すぐの美織にはキツイとは思うけどさぁ…。

「てか、旦那さまは?私じゃなくてさ、買い物頼めばよかったんじゃない?」

視線は天使から離すことなく、いつもの3割引きの声量で少しばかりの不満を漏らす。

「今、出張。もうね、身を引き裂かれる思いで出て行ったわよ。ほんっと煩いくらいに電話もメールもひっきりなし。」

溜息をつきながら今も震える手の中の携帯を見つめている。
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