遊びじゃない
部屋に入って、冷え切った体を温めるためにエアコンのスイッチを入れる。
急いで出てきたからただ首にぐるぐる巻いただけのマフラーを外しながら、ふぅっとため息をつきながらいつもの定位置、ソファにもたれて無駄に毛足の長いラグの上に座る。
どうしたらいいんだろう…。
いや、どうしたもこうしたもないのか。
別れちゃっただけ。明日からは彼がいなくて、来週末からは1人で過ごす休日だってだけ。
この歳になればそんな別れも初めてじゃない。
…でも、やっぱりさっきまであった温もりが消えちゃうとか、あの人と笑い合うことがもうないんだとか、金曜日の夜はどうしようとか考えて。
気付いたら何ヶ月ぶりに流す涙が頬を濡らしていて、『どうしてあの時あの人の前で泣けなかったんだろう』って思ったら余計に溢れて止まらなかった。