届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

なんて考えながら廊下を曲がった瞬間。

バチッと目が合った人。

「あっ…。」

目が合った人の顔を見て、小さく声を上げた。

「…。」

その人は声すら上げない。

明らかに忌み嫌うような視線で、こっちを見ている。

周りにたくさんのドクターを従えて。

お父さんだ…。

こんな所で会うなんて。

周りの取り巻きドクター達が、あたしを発見するとピリピリオーラを放ってる。

うつむきながら走って隣を通り過ぎた。

悲しいとかじゃない。

苦しいとかそんな感情なんて、とっくになくなってる。

あるのは憎しみだけ。

なんで生かしているの?

いっその事、殺してくれれば良かった。

小さい頃ずっとそう思っていた。

だから、あの葬式の日が決定的になって。

あたしは親への感情なんて憎しみしか持ち合わせなくなった。

だけど今は生かせてくれた事はうれしい。
< 163 / 570 >

この作品をシェア

pagetop