届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

お兄ちゃんに出会えたから。

あたしは、それ以外、感謝なんてすることはなかった。

801号室に着くと、肩で呼吸している自分がいる。

ガラッとドアを閉めると、呼吸を整えるかのようにドアにもたれた。

静まり返った病室内。

個室だからよけいにハアハアと息切れしている呼吸が響き渡る。

ゆっくりと深呼吸をして呼吸を落ち着かせると、バタンと吸い込まれるかのように、ベッドに倒れこんだ。

会いたくない人に会っちゃった…。

そうだ半年前も病院で会ったんだ。

院長回診で病棟回っていて。

その時は、お兄ちゃんが病院にいて。

お兄ちゃんを探していて会っちゃったんだ。

やっと思い出した。

思い出していいことなのかな?

ガラガラ…。

急に病室のドアが開いた。

まさかお父さん!?

ベッドから慌てて飛び起きる。

< 164 / 570 >

この作品をシェア

pagetop