届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

29 いわれなき仕打ち


それは尚吾があたしに

「キモイ!!ロリコン!!」

と、言われた数分後だった。

尚吾のプライドをズタズタにしたらしい一言。

尚吾達はこの辺では有名だった。

知らなきゃモグリってくらい。

本当に尚吾はモテるらしい。

優しくておもしろくて。

どこかナルシストっぽいんだけど、それが嫌味がなくて。

女遊びも半端じゃない。

尚吾が狙っているってだけで、他の男が手を出せないらしい。

だからあたしには、変な男が寄ってこなかったんだ…

そんな尚吾が、自分の好意をロリコン扱いされて怒ってしまった。

尚吾は知り合い全員に通達を出した。


『コイツに関わったヤツ死刑!!』


あたしの写メ付きで…

それがチェーンメールのように周りに回って、この辺りではどこも入店禁止になった。

そして、泣きを入れに『G』にくると予想した尚吾。

あたしが来たら襲えと、この男に命令を下した。

女の子にとって、一番の苦痛を味わせてやるって息巻いて。

案の定、あたしがここに来たってワケ。

ところが襲おうとした女に肘鉄(ひじてつ)喰らわされ、尚吾の事を聞かれたと思ったら激しくキスされセックスを誘ってきた。

「女はお古で構わない…」

意味アリな一言。

まさか俺、人違いしたか!?

尚吾さんの彼女襲っちゃった??

そうなったら、自分がタダでは済まないのが分かっている。

ものの数秒。

男の頭の中で恐怖の絵が浮かんだ。

尚吾の彼女と勘違いしたらしく、全てを話してくれたってワケね。

全ては、お兄ちゃんじゃなかったんだ。

尚吾は許せないけど。

なんか少しホッとしちゃった。

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