届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「嫌だって言っても、もう呼んじゃったから。」

それだけ言うと、部屋に戻って出てこなかった。

あたしは、どうしていいのか分からなくて。

戸惑いながらその場から動けなかった。

お姉さんの好意は嬉しいけど、今は尚吾に会いたくない。

会ったら自分の気持ちが暴走しちゃいそうな気がした。

それなのに、ほんの10分だった。

……ガチャ……

玄関の開く音がした。

一歩一歩近づいてくる尚吾の気配を感じる。

ドキンッ……
ドキンッ……

緊張と不安であたしの心臓が高鳴っている。

カチャっと廊下のドアが開いた瞬間。

…パチッ!!!!

尚吾と目が会った。

あ………。

お互い、口には出さずに、口がポッカリ開いている。

「……姉ちゃんは?」

一番最初に口を開いたのは尚吾。

「あっ………ん…。」

何も答えられずに、ソファから立ち上がってお姉さんの部屋を指差した。

その途端、ボロボロとワケもなく涙が溢れてきた。

『どうしたんだよ!?』

いつもなら、そう言って心配してくれるはずなのに…。

何も言わずに、うつむいたままお姉さんの部屋に入っていった。

やっぱり、終わりなんてあっけないものだ。

もう、あたしと尚吾はどうなる事もないと実感した。

…あたしが、ハッキリしなかったから。

これでよかったはずなのに。

分かっていたはずなのに…。

今までの事を思い出して、涙が止まらない。
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